出生前検査について

出生前検査(診断)

ご妊娠おめでとうございます!

嬉しさや楽しみなお気持ちでいっぱいのことと思いますが、同時に、多少の不安を感じている方もいらっしゃるかもしれません。そのようなお気持ちを少しでも軽くするための手段として出生前検査(診断)がありますが、その種類や方法、対象は様々です。

出生前検査(診断)は、広い意味では妊娠中の超音波や胎児心拍モニターなど、胎児の発達や異常の有無を調べる全ての検査を意味します。

狭い意味での出生前検査(診断)として、胎児の先天的な異常、特に染色体異常や遺伝性疾患の有無を調べる検査方法が知られており、赤ちゃんの先天性疾患の一部が妊娠中にわかる可能性があります。

疾患によっては妊娠中や出生後すぐに治療が必要なものもあるため、出生前診断により早期からの治療やサポートを事前に準備できることもあります。

一方で、診断がつくことによってご家族の悩みが増える場合もあります。

そのため、出生前検査(診断)を希望される場合には検査の合併症や、検査でわかること・わからないこと、対象疾患、対象者、検査を受けることの意味をご家族でしっかりと考えていただくことが大切です。

妊婦さんの年齢に関わらず全妊娠中の3〜5%の赤ちゃんが先天性疾患をもって生まれてきます。

先天性疾患には、染色体疾患(25%)、単一遺伝子変異(20%)、他因子遺伝(50%)、環境・催奇形因子(5%)の4つがあります。

出生前検査(診断)の多くが得意とするのは、その中の25%ほどを占める染色体疾患(そのうち50%程度がダウン症候群、10%がエドワード症候群)であり、決して全ての先天性疾患が見つかるわけではないということを十分にご理解下さい。

これらの検査を受けられるかどうかは完全に妊婦さんご本人の自由意志であり、費用も全額自己負担の自費診療となります。

当科で実施している出生前検査

妊娠 9週~ 新型出生前診断
(NIPT)
検査料 165,000円(税込)
初回遺伝カウンセリング料10,000円(税込)
再診遺伝カウンセリング料 5,000円(税込)
妊娠 11~13週 妊娠初期スクリーニング
(First Trimester Screening)
エコー
11,000円(税込)
妊娠 15~17週 母体血清マーカー
(クワトロテスト)
22,000円(税込)
妊娠 15週~ 羊水検査 110,000円(税込)
  • 上記検査費用に診察料が加算されます。(初診:3,000円(税込)、再診・当院かかりつけの方:2,000円(税込))
  • 希望される妊婦さんはどなたでも受けることができます。
  • 検査可能な週数が限られます。できるだけ前もって予約をお取りください。

妊娠初期スクリーニング(First Trimester Screening)

11~13週の妊娠初期に超音波(エコー)で赤ちゃんを詳しく観察する検査です。

検査項目

  • ソフトマーカー(NT、TRなど)
  • 頭蓋骨の形成
  • 脳の形成
  • 皮膚の浮腫の有無
  • 四肢の発育
  • 心臓の向きや血流
  • 腹壁や内臓の形成
 など
ソフトマーカーとは

赤ちゃんの首の後ろの浮腫み(NT)や、心臓三尖弁の逆流(TR)、鼻骨の有無など「それだけでは異常とは言えないことが殆どではあるが、複数の所見を認める場合など赤ちゃんの染色体疾患の可能性が通常よりは高くなる」という超音波所見をソフトマーカーと呼びます。
通常の健診でこれらが見つかることは稀であり、また、資格や経験を有した医師/技師による測定およびカウンセリング可能な環境以外ではたとえ疑わしくともお伝えすることはありません。

NTを計測することで、ダウン症などの染色体疾患の可能性を大まかに計算することができます(偽陽性率5%のとき感度80%)。
スクリーニング検査とはリスクの高い人と低い人を振り分ける検査です。リスクが低い場合は羊水検査などを行わずに済む場合があります。

新型出生前診断(NIPT) 9週~

2022年5月より当院でも可能となった検査です。新型出生前診断(NIPT)は、妊婦さんの血液中に含まれる赤ちゃんのDNA断片を分析することで、赤ちゃんの特定の染色体疾患を調べることができる検査です。正確な名称は、「無侵襲的出生前遺伝学的検査」または「母体血を用いた新しい出生前遺伝学的検査」ですが、国内では「新型出生前診断」と一般的に呼ばれています。

新型出生前診断(NIPT)は、具体的に次の3つの疾患を調べることができます。

  • ダウン症候群(21トリソミー)
  • 18トリソミー
  • 13トリソミー

これら3つを合計すると、胎児の染色体疾患の約7割に相当しますが、現在国内では日本医学会および日本産科婦人科学会等の指針により、3つの疾患のみしか調べることができません。新型出生前診断(NIPT)は感度99%と精度が高く、赤ちゃんの染色体疾患をより正確に発見することができます。
採血のみで検査ができるため、流産・死産のリスクがありませんが、確定的検査ではありませんので、陽性または判定保留が続いた場合、検査結果を確定させるための検査(羊水検査または絨毛検査)を受ける必要があります。

ご予約に関して

妊娠初期スクリーニング(First Trimester Screening)

完全予約制で行なっております。
検査は自費診療で、希望される妊婦さんはどなたでも受けることができます。
ただし、予約枠に限りがあるため当院で健診中または分娩予定の方を優先させていただく場合が あります。

トリソミーリスク計算をご希望の方は妊娠11週~13週の間に検査を行ないます。
検査可能な週数が限られます。できるだけ前もって予約をお取りください。

新型出生前診断(NIPT)

完全予約制です。お電話で予約をお取りください。検査は自費診療で、希望される妊婦さんはどなたでも受けることができます。

出生前検査予約・お問合せ

お申込み・お問合わせ・
ご予約はこちら
0466-35-1177(代表)

月~金曜日(祝日を除く) 13:00~15:00
婦人科外来におつなぎします。

母体血清マーカー(クワトロテスト)

母体採血で4つの成分(AFP、uE3、hCG、inhibinA)を測定する検査のため、赤ちゃんへのリスクはありません。15~16週で検査し2週間ほどで、トリソミー21、トリソミー18、開放性神経管欠損の3つの疾患の可能性を算出します。母体体重、家族歴、糖尿病の有無に加え、母体年齢を元に計算するため35歳前後までの方では陰性となることが多いですが、35歳以上では18%、40歳以上の方では40%が陽性になるため注意が必要です。精度は、偽陽性率5%のとき感度70%と他に比べやや劣りますが、陰性の結果であった場合に実際に胎児に異常がない確率(陰性的中率)はコンバインドテストと同様に高いとされます。
中期に行なうため、初期に出生前検査(診断)を受けたかったけれども何らかの理由で受けられなかったという方にも適しています。

羊水検査

母体のお腹から針を刺し、羊水を採取して羊水中に含まれる胎児の細胞から染色体異常の有無を調べる侵襲的検査です。15週以降で行ない、結果は2週間ほどで出ます。母体の臓器損傷や流早産、出血、破水のリスクがあり、一般的に0.3~0.5%程度に流産リスクがあるとされます。2~3%程度に羊水流出や出血が起こるとされますが、重篤な合併症は稀です。一般的に行われるG band法では、羊水中の少ない胎児の細胞を培養して増やした後に、染色体を染めて形態や数を観察します。そのため、顕微鏡レベルでは確認できない小さな構造異常(微小欠失)や遺伝子レベルの異常は検出できないことがあります。また、採取できた細胞が少な過ぎても、結果は得られません。染色体の数の異常(トリソミーやモノソミーなど)が検出された場合は、確定診断となりますが、胎児が正常と異常両方の染色体を持つ細胞を持ったモザイクというケースもあり、その場合は出生後に診断が確定することもあります。
超音波など非確定的検査で染色体疾患のリスクが高いとされた方が、実際の診断目的に行うのに適した検査です。

診療科・部門